保険料控除証明書から見るアドバイス 2020年9月末
もうそろそろ、生命保険会社から保険料控除証明書が届くころだと思います。毎年、確定申告や年末調整のときに生命保険料控除証明書を拝見するのですが、定期付終身保険、養老保険、学資保険が多く見受けられます。
保険料控除証明書からは保険会社名、保険の種類、保険契約者、支払金額ぐらいしか分かりません。正直、細かいところまで分かりません。保険金受取人が書かれているものもあれば、書かれていないものもあります
最終的には、保険契約書から判断します。
保険で押さえておきたいポイント
①定期保険は、掛捨保険であり、定期預金とは違います。
②生命保険会社の予定利率と定期預金の利率とは違います。
①定期保険の定期とは一定期間での保障をすることです。期間満了まできたらそこで保障が終わります。定期預金のように積立はしません。
②予定利率とは「責任準備金」の運用利回りです。責任準備金とは保険料から保険会社の事務経費等(保険会社の利益も含む)を引いた金額を将来支払う保険金に充てる金額です。
このとき考えることは「貯蓄は三角、保険は四角」です。
保険の特徴とは、今欲しい保障がすぐに保険料を払って手に入れることができます。
将来のために積み立てていき時間とともに増加するのが貯蓄。私が昔感動した本で、勝間和代著の「銀行にお金を預けるな」ではETF(指数連動型投資信託)を勧めています。
いずれにしましても、この二つをうまく組み合わせることにより効果が大きくなります。
保険は貯蓄が出来るまでのつなぎであると考えています。個人において保険で貯蓄は考えていません。(ひとつの考え方です。)
例えば、終身保険で保険料払込満了したときに解約した場合、保険金額よりも少ない解約返戻金です。(戻りは支払保険料の90%前後 ※契約内容、配当の額にもよる)
一方、法人のお客様には定期保険を勧めています。少ない掛金で大きな保障。あくまでも万が一があったときの保障に重点をおきます。とはいえ、60歳では、ほぼ生きている方が多いです。両方のプランを考えることをお勧めします。
また貯蓄目的で養老保険に加入する人がいますが、この保険も生命保険会社の経費や死亡・高度障害のための保障料が含まれていることや予定利率が低いため、満期保険金よりも払い込む保険料のほうが大きいです。養老保険や学資保険では、かんぽ保険の加入者が多いです。郵便局が強いのは、やはり平成2年9月17日から平成3年7月28日までに加入した定額貯金の金利の高さでかなりの方が満足したのではないでしょうか。
私の両親もその当時に定額貯金に入って10年で1.6倍になったそうです。
(100万円預けて10年後には税引き後169万円)
ちょうどそのときのいい思いをした人が多かったために、郵便局は有利だとの認識になったのではないでしょうか。
もし再度定額貯金に加入した場合 (平成12年頃に100万円を10年間預けた場合はどうなるでしょうか?)
10年後の平成22年には税引き後101.6万円です。10年間で税引き後で16,000円程利息がつきます。
そのかんぽ生命も、2019年の不正問題で2重契約や保険の無契約期間等かなりの悪質なことをするもんだと思いました。
2020年9月29日もかんぽ生命の不正が発覚しました。告知義務違反でした。理由は、手続きがめんどくさいから、そのままでいったそうです。
問題にならないようにするには、やはり一人一人が金融リテラシー(金融の読み書きの知識、基本的なこと)を持つことです。
分からないから、よく調べてから行うことです。分からないと、金融機関のカモになる可能性が非常に高いです。
ひとつ聞くとしたら、「あなたは、加入していますか。親に勧めますか。」「本当に勧めますか?」
吉本佳生著の「金融機関のカモにならない!お金の練習問題」にも書かれているのですが、「保険は掛け捨てが一番」またひとつの金融商品に基本的な保険の機能と貯蓄や資産運用の機能を同時に求めると、必ずと言っていいほど、消費者側は割高なコストを負担することになります。また勝間氏は、「賢くない人から賢い人へお金が移動する仕組み」や「情報を持っていない人から、情報を持っている人へ、お金が移動する仕組み」と言い換えることができると言っています。
この本は、2007年に出版された本です。吉本佳生先生の本は、これだけでなく他の本も非常に読みやすいです。金融を学ぶには基本の本となるでしょう。
出来る方には、物足りなさはあるかと思いますが・・・
保険商品の良いところを他にも挙げれば
自分の財産を自分の意思で引き継いでもらうことができる商品です。遺産分割協議書がなくても、受取人が定められているために受け取ることが出来ます。
相続対策に有効であります。
契約者・被保険者・・・被相続人 受取人・・・相続人
受け取った保険金は相続税の対象となり、「500万円×法定相続人の数」の非課税枠が使えます。
組み合わせによって、一時所得、雑所得、相続財産、贈与財産にすることが出来ます。
会計事務所は、仕事柄どうしても税法中心で損得をみてしまう傾向がありますが、それぞれのお客様にライフプランにあって考えていくことができます。
当事務所でも、法人の関与先に対しては、標準保障額からのご提案、個人のお客さんに関してはライフプランからのご提案ができます。
CFP 望月貴之