10年後の未来を一緒に考えてみませんか?

あびこのFP

年末調整の季節がやってきました。令和3年

2021年11月3日

年末調整を考える季節になってきました。毎年この時期になると1年は早いなぁと感じます。これから、忙しくなってくると思います。

今年の用紙で気づくのが、押印欄がないことです。名前とか印字されて渡した場合、本当に確認してくれたかどうかが分からなくなっていしまいます。
チェック欄をつけてくれるといいなぁと思っています。

年末調整と源泉徴収

11月になりました。10月の下旬から、朝晩寒くなり、上着を着るようになりました。9月から10月にかけて生命保険料控除証明書が自宅に届き、税務署から年末調整の書類が届くと、年末調整の説明をしないといけないなぁと考える時期になりました。給与計算を行う事務職員の方々は、慌ただしくなる季節でもあります。

今年の年末調整、個人の確定申告ですが、2019年度以前の改正が2020年に実施されています。
2021年は大きな改正がなかったかと思います。大きな改正は前年の2020年にありました。

2020年に適用開始

基礎控除の10万円の引き上げ・・・(38万円→48万円)

所得制限の設定 合計所得金額2,500万円超で基礎控除額0円・・・(2,400万円以下の場合 48万円)

給与所得控除の10万円引き下げ・・・(給与所得控除の上限195万円まで)

給与所得控除(子育て・介護世帯)の創設・・・ 給与等の収入額が850万円超の場合

公的年金等控除の10万円引き下げ・・・(公的年金等控除の上限195.5万円まで)

青色申告特別控除の10万円引き下げ ・・・(55万円になりました。要件を満たせば65万円)

配偶者控除・配偶者特別控除の適用範囲変更

扶養控除の適用範囲の変更・・・(所得が38万円から48万円へ)

未婚のひとり親控除等の創設

なんか、毎年なんらかの改正があって正直言って、覚えていませんので、ハンドブック等で確認します。税制改正があっても、実施されるのは数年後だったりするので頭の中かぐちゃぐちゃです。やりながら、理解していくという感じです。

令和3年の年末調整は、様式は、令和2年と同じです。令和2年に様式が変わりました。

なお国税庁のHPには、ユーチューブの動画まであります。

令和3年分 給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書

「扶養控除等(異動)申告書」や「保険料控除申告書」は例年と一緒です。

配偶者控除・配偶者特別控除の算定が簡単ではないです。お客さんの年末調整の計算をしていて、この数字は所得のことをいっているのか、それとも収入を書いているのかが不明なため悩みます。もし、仮に間違っていた場合は確定申告で申告しなおしたら大丈夫です。

この年末調整は、毎月の給与から源泉徴収されている概算所得税を精算する制度であり、サラリーマンにとって確定申告の必要がなくなる便利な制度です。ただし、雑損控除、医療費控除、寄付金控除(ワンストップ税制を行わない場合)や他の所得がある場合は確定申告する必要があります。

 

源泉徴収という制度が、いつから始まったかご存知でしょうか?

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給与所得に対する源泉徴収制度は、昭和15年10月9日の所得税法改正から始まります。

 

その当時の日本は、第一次大戦後の経済不況という状況でしたが、増加する軍事費を調達することを目的に法律化されました。そして、終戦後の昭和47年には、年末調整が定められ、雇用主がサラリーマンの所得税を精算するという制度が出来上がりました。今では、源泉徴収や年末調整は、当然のものとして、受け入れられていますが、過去には、制度自体が憲法に違反しているのではないかとして、裁判で争われたことがあります。国の徴税事務が、雇用主に無条件で押し付けられるのはおかしいと考えられたのです。

納税をしなかった場合の裁判事例

東京・銀座の老舗レストランを経営していた社長が、従業員に支払う給与から、源泉所得税を控除せず、納税を行わなかったのです。そのため、所得税法違反で起訴され、昭和30年に、東京地裁で有罪判決を受けました。1審の東京地裁は、懲役6ヶ月・執行猶予2年の判決を下し、2審の東京高裁も控訴を棄却しました。そして、最高裁において争われることになります。

この社長の主張は、「雇用者は、政府の徴税義務に協力するため、私有財産を侵されているが、何らの補償もされておらず、強制労働を課されている」という点でした。この主張に対して、最高裁は「雇用主と従業員は、特別な関係にあり、源泉徴収制度は、徴収方法として、能率的であり、合理的であって、公共の福祉の要請にこたえるもの」であるから、憲法に違反しないとして、社長の主張を退けました。この最高裁の判断により、源泉徴収制度は、憲法に違反しないことになりました。

 

しかし、この最高裁が行われた昭和37年当時から、現在では年末調整作業も大きく変化し、事務作業の負担も増加していることを考えると、雇用主に、何らかの補償があってもよいのではないかと個人的には考えてしまいます。

ココがダメ

また、年末調整制度は、従業員の立場からすると、自動的に納税が終わるため、納税を行ったという意識が薄まってしまう点が、制度の問題点として挙げられ、年末調整を廃止するべきだという意見もあります。

現在では、源泉所得税だけではなく、住民税も給与から天引きしなければならなくなりました。(特別の方を除く)給与からの天引きが出来ない方は、理由を記載して市に提出しなければなりません。(会社側が行います)

 

一方で、海外に目を向けると年末調整がない国もあります。

アメリカでは、年末調整制度はなく、すべての個人に、確定申告を行うことが義務づけられています。そのため、個人の負担が大きすぎるため、年末調整制度を導入するべきだという意見があるようです。

私も、大学生のころ、ひょんなことからアメリカ人の知り合いの母親のところに泊まらせてもらったことがあります。行った時期が3月末で、4月16日頃に全員が確定申告をすると聞いたことがあります。だから頭が痛いと・・・

 

年末調整から手取り額を考えてみると

日本では、会社が天引きしているので給与から何が引かれているかあまり意識せず、手取り額を見て総額が少ないなぁと思うことがあります。給与で一番多く徴収されるのは、たいていの方は社会保険ではないでしょうか?おおよそ社会保険料で給与の総額の15%程天引きされます。よって住民税や所得税を合わせると手取りは75%から80%ぐらいではないでしょうか。

もちろん、給与が高ければ、所得税の額は上がってきますし、会社で積立や保険加入をしていた場合は天引きになるので一概には言えませんが、FPで簡易計算する場合は、おおよそ8割ぐらいの手取りと考えて話を進めています。

 

厚生年金・健康保険です。おおよそ給与の総額の15%引かれます。同じぐらい会社も負担しています。
次に多いのは、住民税ではないでしょうか?(年収が600万円以下の方 例外もあり)

給与が少ない方や賞与が月給の3ヶ月ぐらい支払いがある方は、住民税が多く引かれています。(住民税は前年の所得で計算されます。12分割で徴収されます。)賞与の無い方で、毎月ほぼ一定の方は、月額80万円を超えるぐらいから、所得税の方が多くなってくるのではないでしょうか。

 

たいていの方は、住民税の方が高くなっていると思います。会話をしていて「住民税よりも所得税の方が多く引かれている。」となった場合はかなりの給与をもらっていると思います。(賞与がある、なしによってちがってきます)
あと、税金が高い、高いと言っていますが、本当は社会保険の徴収の方が高いですよ。このように、年末調整について色々な制度で様式が変わっていっています。

私の考えでは将来、一元化するのではないでしょうか。税務署も市役所も一元にして、税務署や市役所もデータを見に行く時代になってくるかと思います。

 

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